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医療用21.3型TFT液晶モジュール3機種を開発

2004年11月25日
NEC液晶テクノロジー株式会社

54cm(21.3型)アモルファスシリコンTFT液晶ディスプレイモジュール
54cm(21.3型)アモルファスシリコンTFT液晶ディスプレイモジュール

NEC液晶テクノロジー(代表取締役社長:奥野 和雄、本社:神奈川県川崎市)はこのたび、医療現場における様々な要求に応える対角54cm(21.3型)アモルファスシリコンTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)液晶ディスプレイモジュール3機種を開発しました。

新モジュールは、(1)バックライトシステムにRGB3色のLEDを搭載することにより、白色点のカスタマイズが可能な「LEDバックライト搭載モノクロ TFT液晶モジュール」、(2)10bit分解能液晶ドライバと3つのサブピクセルの独立制御により、3070階調(11.5bit相当)の同時出力を可能にした「10bit入出力対応モノクロTFT液晶モジュール」、(3)当社独自のSA-SFT技術と直下型高出力バックライトシステムの組み合わせにより450cd/m2の高輝度を実現した「高輝度カラーTFT液晶モジュール」の合計3点です。

新モジュール共通の特長は以下の通りです。

  1. 対角54cm(21.3型)の大画面表示
  2. 上下左右とも170度の広視野角と高い透過率を実現する当社独自のSA-SFT技術を搭載
  3. このクラスでは最小となるフレーム幅約12mmを実現

なお、(1)LEDバックライト搭載モノクロTFT液晶モジュールは2Mピクセル、(2)10bit対応モノクロTFT液晶モジュールと(3)高輝度カラーTFT液晶モジュールは3Mピクセルの高解像度表示に対応し、医療現場における高解像度モニタへのニーズに応えます。

近年、医療現場におけるデジタル化が急速に進展しております。これまでX線フィルムや紙ベースのカルテで管理されていた各種医療記録をデジタルデータに置き換えることによって、撮影から診断までのスピードアップがはかれること、データの管理効率が改善されること、情報の共有が容易になること、といったメリットはもちろん、コンピュータによるさまざまな画像処理や解析が容易となることにより、診断精度の向上にも大きな貢献をもたらしています。 このように、今後ますます医療のデジタル化の進展が見込まれる中、さまざまな医療情報を表示するための医療用モニタ、及び、そのキーデバイスである液晶モジュールへのニーズも高度化・多様化しております。 当社では、従来のカラーTFT液晶モジュールに加え、モノクロTFT液晶モジュールのラインアップの拡充をはかるなど、医療現場のニーズに応えてきました。このたびの新モジュールは、さらに高度化かつ多様化するニーズに対応すべく、当社の最先端技術を結集し、開発したものです。

このたび開発した新モジュール3機種の特長は、それぞれ以下の通りです。

  1. LEDバックライト搭載モノクロTFT液晶モジュール

    バックライトシステムにRGB3色のLEDを搭載し、各色のLEDの輝度を独立して制御することができるため、白色点をカスタマイズすることが可能。さらに輝度・色センサーを内蔵し、外部との通信機能も搭載している。これらにより、医療現場で有効な下記の特長を有している。

    1. 本モジュールを搭載した複数のモニタを同時使用する際、隣り合ったモニタの白色点を合わせることができる。また、本モジュールを搭載したモニタであれば、導入時期が異なるモニタどうしを同等の輝度・色味に調整することも可能。これらにより、複数のモニタを使って診断を行う際、モニタ間の色味や輝度の違いを気にすることなく、ストレス無く診断を行うことができる。
    2. 設定した白色点や輝度の経時変化を感知してLEDの供給電流を制御し、設定値を保持することができるため、常に安定した診断環境を提供することができる。
    3. 通信機能により、PC側からモジュールの白色点を任意に設定することができるため、従来のX線フィルム環境などに合わせて、モニタの色味をP45(ブルーベース)にも、P104(クリアベース)(注1)にも設定することができ、任意に切り替えて表示することもできる(別途制御用ソフトウェアが必要)。
  2. 10bit入出力対応モノクロTFT液晶モジュール

    10bitディスプレイドライバICを採用していることにより、入力から出力まで10bit(1024階調)で制御することが可能。また、各ピクセルは3つのサブピクセルで構成されており、1サブピクセルごとに1024階調制御ができるため、フレームレートコントロール(注2)などの階調補間技術を用いることなく3070階調(11.5bit相当)の同時表示が可能。さらに、内部にカスタマイズ可能な12BitのLUT(Look Up Table)を搭載していることにより、GSDF(注3)に忠実に、最適な3070階調を抽出して表示することができる。これらにより、高い階調特性が要求されるマンモグラフィー(注4)の読影診断においても十分な表示品質を提供することができる。

  3. 高輝度カラーTFT液晶モジュール

    高透過率を実現する当社独自のSA-SFT技術と直下型高出力バックライトシステムとの組み合わせにより、3Mピクセルの高解像度表示が可能なカラー液晶モジュールとしてはクラス最高の450cd/m2の高輝度を実現。これにより、従来、輝度不足のため不向きとされていたカラー液晶モニタ上での読影診断が可能となるため、本モジュールを搭載したモニタであれば、カラー表示を必要とする画像解析用と、高輝度グレースケール表示を必要とする読影診断用の、2つの異なる用途を1台のモニタで共用することができる。

NEC液晶テクノジーは、今後もさらに医療用液晶モジュールの開発・製品化に注力し、医療現場におけるデジタル化の進展に貢献していきます。

開発品の主な仕様は別紙をご参照ください。

以 上

(注1) X 線フィルムのベースの色味で、P45(ブルーベース)とP104(クリアベース)の2つのタイプがある。一般に医療用モノクロモニタは、このフィルムの色味を模して2種類のモデルバリエーションが用意されることが多い。なお、輝度・白色点の制御には別途ソフトウェアが必要。

(注2) 「FRC」とも呼ばれる中間階調を擬似的に作り出す技術の一つで、画面の書き換えと網膜の残像効果を利用したもの。液晶ディスプレイの画面は1秒間に数十回書き換えられるが、たとえばあるピクセルを1フレームごとに0階調と1階調に交互に書き換えることにより、人間の眼には0階調と1階調の中間の階調に見えることになる。これを4フレームを1セットとして制御すれば(2bitFRCと呼ばれる)、0階調と1階調の間に3段階の階調を擬似的に表現できるため、通常の 8bitの液晶モジュールの場合、グレースケールは256階調までしか表現できないが、FRCを利用すれば約4倍の階調表現が可能となる。しかし、中間の階調を表現するピクセルの輝度は1フレームごとに変化することになるため、これが画面のちらつきを引き起こす場合もある。

(注3) 「Grayscale Standard Display Function」の略。医療用デジタル画像ネットワークの標準規格であるDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)のPart14で規定された人間の視覚特性を基にしたグレースケールの標準表示関数で、これをグラフに表したものは、一般に「DICOMカーブ」と呼ばれている。

(注4) X線を用いた乳がん専用の診断装置。乳がんの組成には、微細石灰化を伴うことが多く、これらの微細石灰化を画像で抽出するには、高解像度かつ高く正確な階調特性が要求される。

プレスリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。