お知らせ

  1. トップ
  2. お知らせ
  3. 2005年3月9日

Adobe®RGBの色空間をサポートする
LEDバックライト搭載21.3型TFTカラー液晶モジュールを発売

2005年3月9日
NEC液晶テクノロジー株式会社

LEDバックライト搭載21.3型液晶モジュール「NL160120BC27-10」
LEDバックライト搭載21.3型液晶モジュール「NL160120BC27-10」

NEC液晶テクノロジー(代表取締役社長:奥野 和雄、本社:神奈川県川崎市)はこのたび、写真加工、印刷・出版、各種デザインなどのプロフェッショナル用途向けに、これらの分野における標準の色空間であるAdobe® RGB(注1)をサポートする、対角54cm(21.3型)1600×1200ドット表示対応のアモルファスシリコンTFT(薄膜トランジスタ)液晶モジュール「NL160120BC27-10」を製品化し、本日より販売活動を開始します。なお、本製品のサンプル価格は50万円で、2005年5月の出荷開始を予定しています。

新製品はバックライトシステムの光源にRGB三原色の高輝度LED(注2)を配列したLEDアレイを採用し、これをSA-SFT(注3)技術をはじめとする様々な当社独自技術と融合させることにより実現しており、主な特長は以下の通りです。

  1. 業界最高水準の広い色空間を実現
    RGB三原色LEDアレイを光源とするバックライトシステムと、パネル透過率に優れたSA-SFT技術、および新開発のカラーフィルタとを組み合わせることにより、230cd/㎡の高輝度を維持しながら、CIE XYZ表色系(注4)色度図(注5)上の面積比において、ディスプレイ装置用液晶モジュールとしては業界最高水準となるAdobe® RGB比109%の広い色空間をサポート(注6)。これにより、冷陰極管を使用した液晶モジュールをはじめとする従来の表示装置では実現できなかった彩度の高い鮮やかな色の表示を可能にしています。
  2. 色補正機能
    RGB三原色LED各色の輝度を独立制御できるため、複数の画面を並べて使用する場合や、デジタルカメラやイメージスキャナ、プリンタといった入出力機器間でカラーマッチングが必要な場合など、画面の色味を自在に調整できます。また、冷陰極管を用いた従来の液晶モジュールに比べて、ホワイトバランスの経年変化に対する補正範囲も広く、長期にわたって安定した輝度・色度を保持することができます。
  3. 環境への配慮
    冷陰極管を使用していないため、完全な水銀レスを実現しています。また冷陰極管では必須であったインバータ回路が不要となるため、高調波などによる周囲の電子機器に対する影響も大幅に軽減します。

新製品はこのほか、水平・垂直方向とも170度(コントラスト比10:1以上の範囲)の超広視野角に加え、10億6433万色の色分解能および、この中の最適な1677万色の同時表示といった、広い色再現領域を十分に活かすための機能をはじめ、高度な色再現能力が求められるプロフェッショナル用途に適したさまざまな優れた特長を実現しています。

近年、出版・印刷や写真加工といったプロフェッショナル分野では、作業効率の改善やコストの削減のため、画像入力から加工・編集、さらには共有・保管といった一連の作業のデジタル化が急速に進展しています。こうしたデジタル化を商業分野で実現するためには、全工程にわたって「色基準」が一貫していることが大前提となりますが、これらの業界では、広い色空間を持つAdobe® RGBが早くから標準の地位を得ており、編集・加工用のアプリケーションソフトウェアからデジタルカメラ・プリンタといったハードウェアまで、Adobe® RGB対応製品が浸透しつつあります。一方で、コンピュータ上で行われる一連の作業をモニタリングするための表示装置は、Adobe® RGBの色空間をサポートする製品はごく限られていたため、多くの場合、デザイナーや色校正等の作業者はパソコン上の画像を試し刷りする等、意図した本来の色が再現できていることを確認するために試行錯誤する必要がありました。このたびの新製品は、こうした課題を克服し、これらのプロフェッショナル用途における業務効率の向上に貢献するものです。

NEC液晶テクノジーは今後も、ハイエンド・プロフェッショナル用途における高度なニーズや、各種産業用途における多種多様なニーズに応える製品を中心に開発・製品化を進めて参ります。

なお、新製品の仕様は別紙をご参照ください。

以 上

(注1)米Adobe Systems社が1998年に提唱した、コンピュータ上でカラーを扱う際の色空間の定義の一つ。印刷やデザインといったプロフェッショナル分野ではスタンダードとなっている。 Adobe は、Adobe Systems Incorporated(アドビシステムズ社)の北米およびその他の国における登録商標または商標。

(注2)Light Emitting Diodeの略。通電により発光する半導体素子の一種。

(注3)Super Advanced -Super Fine TFTの略。IPS (In-Plane Switching)技術を核に、多くの当社独自技術を織り込んだ高画質TFT技術。

(注4)Commission Internationale de l'Eclairage(国際照明委員会)が、1931年に制定した表色系の一つで、CIE Yxy表色系、CIE 1931表色系とも呼ばれる。光の三原色(R.G.B)による加法混色の原理に基づきつつ、これを発展させたもので、光の三原色の代わりに三刺激値(X.Y.Z)の加法混色により380nmから780nmまでの全ての可視スペクトル光とそれらの混色、さらには物体色までを表わすことを可能にした。なお、Xは主として赤領域を代表する色刺激、Yは明度と同時に緑領域を代表する色刺激、Zは青領域を代表する色刺激である。

(注5)CIE XYZ表色系の三次元の色空間を二次元座標上の領域として表現したもので、全ての可視色は、各色の成分である三刺激値の合計値におけるXの占める割合(= X/(X+Y+Z))を表す「x」と、Yの占める割合(=Y/(X+Y+Z))を表す「y」を2軸とする座標上において、三角形に近い馬蹄形の領域内にプロットされる。馬蹄形の左下から左上を経て右下に至る弧状の軌跡はスペクトル軌跡と呼ばれ、全ての可視スペクトル光はこの軌跡上にプロットされる。彩度は可視領域の領界に近づくほど高くなり、中心に近づくほど低くなる(中心はx=0.33、y=0.33で理論上の白)。表示装置や入出力装置の色再現領域もこの可視領域内の面積で表され、面積が広いほど再現可能な色の範囲(=色度域)も広くなる。

(注6)Adobe® RGBに対し、面積比で109%、カバー率は98.3%。

プレスリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。