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DRAMフレームメモリをガラス基板上に集積したTFTカラー液晶ディスプレイモジュールを世界で初めて開発

報道関係各位
2007年5月23日
日本電気株式会社
NEC液晶テクノロジー株式会社

DRAMフレームメモリをガラス基板上に集積したTFTカラー液晶ディスプレイモジュール
[DRAMフレームメモリをガラス基板上に集積した
TFTカラー液晶ディスプレイモジュール]

NEC液晶テクノロジー(代表取締役社長:奥野 和雄、本社:神奈川県川崎市)はこのたび、液晶表示部と同一のガラス基板上に18ビット(26万色)表示対応のDRAMフレームメモリを集積した液晶ディスプレイモジュールを、世界で初めて開発しました。

このたびの開発は当社のVIT(Value Integrated TFT-LCD)技術と低温ポリシリコンTFT技術を組み合わせて実現したもので、主な特長は以下の通りです 。

  1. 230kビットDRAMと画像エンコーダ機能付フロントエンド回路からなる画像フレームメモリシステム、および画像デコーダ、6ビットDAC、コントローラなどで構成される周辺回路を液晶ディスプレイと同一ガラス基板上に形成。ガラス基板上に集積した回路としては世界最大規模となる、40万個のトランジスタを含むシステムLSIの構築に成功。
  2. NECが独自に開発した画像圧縮/伸張技術であるSPC(注1)の採用により、26万色相当の高画質表示と、回路面積の削減および低電力化を実現。
  3. 高精細かつ多階調表示に対応するために、RGB画素配列に横ストライプ方式を採用し、画像フレームメモリのセルレイアウトを最適化。これにより、プロセスルールの制約に伴う回路面積の増大を抑制。
  4. 画像データの書き込み/読み出しをそれぞれ独立にランダムアクセスできる駆動方式と、それを実現するステータスレジスタ/コントローラの開発により、約30フレーム/秒の高速描画を実現。ワンセグ放送やデジタル動画コンテンツもスムーズに表示可能。

近年、ユビキタス情報社会の進展に伴い、PDAやPND、スマートフォン、PMPなどのポータブル機器が広く普及し、高機能化が急速に進んでいます。同時に、これらの機器に必要不可欠な表示装置にも、小型・薄型・軽量化、高精細・高輝度・多色表示対応、低消費電力化といった、様々な特性が求められるようになっています。
この中でも特に、ポータブル機器では、消費電力に占める表示装置の割合が極めて高いため、表示装置の消費電力低減が重要な課題となっており、この解決策の一つとして、画像フレームメモリを表示装置側に搭載する方式が知られています。画像フレームメモリは、システム側から送信された画像信号を一画面分保存することにより、表示画面の変更が不要な時には、システム側から画像信号を受信しなくても画面情報を出力できるようにするものです。システム・表示装置間の余分な信号のやり取りをなくすことで、消費電力を大きく低減することができます。
現状、画像フレームメモリは、DACなどとともに一体化されたシステムLSIチップとして、液晶表示装置のガラス基板上にCOG(注2)実装することによって実現されています。しかし、システムLSIチップの量産化には長いリードタイムを要するため、急速に多様化する市場ニーズへのタイムリーな対応と、画像フレームメモリの搭載とを両立することは困難でした。システムLSIをガラス基板上に直接形成できるようになれば、LSIチップの開発が不要となり、開発期間を大幅に短縮できるため、このような技術に対する市場からの期待が高まっていました。
このたびの成果は、こうした期待に応えるもので、ガラス基板上にフレームメモリを集積した液晶ディスプレイモジュールの実用化の可能性を示すものです。

NEC液晶テクノロジーは、今後も駆動ドライバ、フレームメモリ、電源電圧変換回路、インタフェース回路など、液晶ディスプレイモジュールの画像表示に必要な外部回路をガラス基板上に集積化するために当社のVIT技術の向上に努め、システムのMPUバスラインに直結可能な「Zero Chip Display(R)」の実現を目指して研究開発に注力していきます。

なお、当社はこのたびの開発成果を、5月20日~25日にロングビーチコンベンションセンター(米国カリフォルニア州ロングビーチ)で開催される「SID2007」のSymposiumにて24日に発表します。

以 上

(注1) Smart Pixel-data Codecの略。独自のアルゴリズムにより、解像度劣化や表示色数の減少を抑えつつ、画像データ量を低減可能。18ビット(RGB各色6ビット)で入力された画像信号を一旦12ビット(RGB各色4ビット)データに圧縮してフレームメモリに書き込み、画像データをフレームメモリから読み込んで表示する際には、再び18ビットデータに伸張することで、26万色表示に必要なデータ量を低減している。

(注2) Chip on Glassの略。LSIチップをガラス基板上に直接実装する方法。

プレスリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。