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TFT液晶ディスプレイの表示画面形状の制約を大幅に緩和する技術を開発
~凹角を含んだ液晶ディスプレイの製作に世界で初めて成功~

報道関係各位
2008年5月19日
日本電気株式会社
NEC液晶テクノロジー株式会社

NEC液晶テクノロジー(代表取締役社長:上野 敏彦、本社:神奈川県川崎市)はこのたび、TFT(薄膜トランジスタ)液晶ディスプレイモジュールの表示画面形状の制約を大幅に緩和して、より自由度の高い表示画面形状を実現する技術を開発し、凹角(注1)を含んだ液晶ディスプレイ試作機の製作に世界で初めて成功しました。

試作機は、2つの円弧と2つの直線によって構成される「ハート型」形状の低温ポリシリコンTFTカラー液晶ディスプレイモジュールで、画面表示部は幅4.0cm、高さ3.6cm、画素ピッチは174ミクロン(146ピクセル/インチ)です。

本技術は、ディスプレイの各画素に信号を送り届けるゲート線とデータ線の配線が最もシンプルなものとなるよう、画素および駆動回路の配置を表示画面の形状に応じて最適化するもので、表示画面が矩形(長方形)以外の形状となる場合でも、ゲート側回路とデータ側回路の重なりの最小化を可能にします(注2)。
本技術の適用により、表示画面形状の制約を少なくし、複数の曲線や凹角を含んだ複雑な形状のディスプレイの実現が可能となります(別紙)。さらに、当社独自の高付加価値化技術であるVIT(Value Integrated TFT)技術と組み合わせ、駆動回路を画面表示部に沿ってガラス基板上に形成することにより、ガラス基板周辺部の配線数、および外部回路との接続線数が大幅に削減されるため、約2mmの狭額縁化(注3)を実現し、外形のコンパクト化が可能となります。

従来、表示装置の画面形状は「矩形」を基本形状としてきました。これは、矩形が、画面を構成する最小単位であるドットの制御を最もシンプルかつ効率的に行うことができ、汎用性も高いためです。
近年、液晶ディスプレイの応用分野の拡大に伴うニーズの多様化・高度化が進み、矩形以外の形状の液晶表示装置へのニーズが高まり始め、昨年、数社から「非矩形ディスプレイ」が登場しました。しかし、これらは円や楕円、矩形の角を落としたものなど、比較的シンプルな形状に限られていました。これは、形状が複雑になると、駆動回路の配線も複雑となり、回路・額縁サイズの肥大化や消費電力の増大などの問題が生じることが主な要因です。また、従来の機械式計器のリプレースなど、限られたスペースに組み込むことが主な目的であったためです。
このたび当社が開発した技術を用いることで、従来の非矩形ディスプレイに比べて、より複雑な画面形状が実現可能となります。これにより、組込み先の制約条件への適応という目的だけでなく、よりデザインを優先した自由な形状を実現することが可能となります。NEC液晶テクノロジーは、このたびの開発が、液晶ディスプレイの用途をさらに拡大するものと捉え、今後、早期の実用化を目指して研究開発活動を加速していきます。

当社はこのたびの新技術を、5月18日~23日にロサンゼルスコンベンションセンター(米国カリフォルニア州ロサンゼルス)で開催される「SID2008」の「Symposium」にて23日に発表するとともに、試作機を「Exhibition(20日~22日)」に出展します。

実現可能な形状の例

以 上

(注1)180度よりも大きく、360度よりも小さい角のこと。
(注2)今回の「ハート型」試作機にはゲート側回路とデータ側回路の重なりはありません。
(注3)ガラス基板の額縁サイズ。FPC・ドライバIC接合部を除く。

プレスリリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。